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僕は、よしこの首にかけた手に、ぐっと力を込めた。 僕の手にこめられた本気を感じたのか。よしこがさっと青ざめ引き剥がそうとする。 「話しながら、か。じゃあ何から話そうか。トリヴィアなんかどうかな?」 よしこが何か言おうと口を開くが声は出ない。出ないだろう。僕の親指が気道を抑えているんだから。 「チアノーゼって知ってる?酸素欠乏で肌の色が青くなることなんだけど、これは血中のヘモグロビンの色と関係してるんだってさ。ヘモグロビンが酸素と結合していれば赤、二酸化炭素と結合していれば青くなるんだ。その血液の色が肌に出てくるってわけ。ちょうど、今の君みたいにね」 よしこが僕の手首をつかんで懸命に力を込めるけど、僕の手はよしこの首をつかんで放さない。やがて、よしこの手から力が抜けていく。 「それから知ってる?心臓が停止しても即死するわけじゃないって。脳は酸素がなくなってから10分経つとその内部での化学反応が止まるんだ。つまり、血流停止から10分経つと人間は脳死しちゃうんだね。だから、この時間の間に人工呼吸で心臓を回復させてやらなきゃならない。試してみようか?」 よしこの大きく開かれた目が僕を凝視する。口の端からは沫をこぼし息にすらならない悲鳴を上げる。やがてその手から・・・・・・ 「なんちゃって」 力が抜ける前に手を放す。仰向けにくず折れたよしこが全力で空気を貪る。 自分でも驚くほど冷静に、同じベッドにいる女を見下ろす。いや、冷静というより、無感動に。 何かが突き抜けてしまって、それ以外のすべてを感じなくなっている。だから、よしこのビンタを食らってもなにもかんじなかった。 「なにすんのよ!?」 「ちょっと話しながらっていうのに挑戦してみたんだ。首を絞めたのは・・・・・・まあ冗談みたいなもんだと思ってくれれば」 「ば・・・・・・ばっかじゃないの!?ばっかじゃないの!?」 シーツを体に巻きつけたままよしこが服を手繰り寄せベッドから降りる。 「正気?首絞めといて冗談って、ありえないでしょ?馬鹿でしょあんた」 じりじりと部屋の出口に向かいつつも僕から目を離さない。 目をそらした瞬間食い殺される、そんな確信に怯えた目だ。 「まともじゃないわよ、なんでそんなこと・・・・・・」 「ふつーでしょ?」 よしこが絶句する。いや、息を呑む。それも、僕にはどうとも思えない。 「ふつーだよ」 そこで限界が来たらしい。短い悲鳴を上げ、よしこは服も着ずにへやから駆け出していく。 ドアの閉まる音を聞きながら、僕は仰向けにねっころがった。 (何を求めていた?) しゃべりながらSEXしようとよしこは言った。彼女はよくある楽しいおしゃべりがしたかった。僕はそれが気に入らなかった。 (何を怒っている?) そうだ、やっと自分の感情が理解できた。怒ってたんだ、僕は。 僕とのSEXをおしゃべりのつまみにされたことに。 「ポテトチップス並みか」 知らず、口をついて出ていた。そうだ、まちがいなくよしこにとってのSEXはそんなものなんだろう。 (じゃあ、僕はSEXに何を求めている?) 三度目の自問に愕然とする。僕の求めていたSEXってなんだ? (子供がほしい?) まさか (SEXの達人でも目指してる?) アタマの悪い漫画じゃないんだから (真剣に愛を求めてる?) ふざけろ (性欲をもてあましてる?) そんなとこだな 答えが出て、ため息をつく。 結局のところ僕もよしこもかわっちゃいない。 何か食わせろとがなりたて、ポテトチップス出されてそんなもんじゃねえとちゃぶ台をひっくり返した。僕は海原雄山か、っての。 「はー、くだんね」 ねっころがったまま大きく伸びをする。 襲ってくる睡魔に逆らうことなく身を任せた。 END 続きがほしけりゃ14番に行け
by kandagawa8746
| 2006-09-20 19:34
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